きれいな肌 #1肌の色

テレビの解像度が上がり、女優さんたちはますますスキンケアの手が抜けなくなっています。彼女たちが出る化粧品のCMなどではうっとりするような肌を見かけますが、肌の見た目を左右しているものは,「色」と「きめ」です。

皮膚・肌の「色」を決めるのは,
1)皮膚血管の中にある血液のヘモグロビン
2)皮膚中のベータカロテン
3)真皮の色調を左右するコラーゲン
4)表皮内のメラニン
ですが,なかでも一番強く関係するのがメラニンです。日焼けやシミの主役としてメラニンという言葉を耳にしたことがあると思いますが,メラニンには黒色メラニン(ユウメラニン)と赤・黄色メラニン(フェオメラニン)の2種類があることをご存じでしょうか?

メラニンは色のついた小さな粒で、表皮基底層とよばれる表皮と真皮の境目にある細胞(メラノサイト)でつくられます。チロシンという物質から,黒色メラニンと赤・黄色メラニンが作られます。皮膚にあるメラニンは,黒色メラニンと赤・黄色メラニンがいろいろな比率で混ざった混合型メラニンです。皮膚と同様に、髪の毛の色もメラニンが決め手になっています。ちなみに,日本人の黒髪には黒色メラニンが圧倒的に多く,赤毛には赤・黄色メラニンが多く含まれます。そして金髪には黒色メラニンと赤・黄色メラニン両方ともあまり含まれていません。

さて,そのメラニン色素の産生が増えて,皮膚の色素が濃くなる状態として,ソバカス(雀卵斑),肝斑,老人性のしみ,日焼けなどがあります。これらの治療には、ハイドロキノンとトレチノインの塗り薬が使われます。
ハイドロキノンというぬり薬は,チロシンからメラニン色素がつくられる過程で必要な酵素(チロシナーゼ)のじゃまをしてメラニンがつくられないように働きます。
一方,トレチノインは,ビタミンA類で,皮膚に対しては,細胞の代謝を高める作用があります。皮膚の新陳代謝は約4週間,つまり表皮基底層で新しい表皮細胞がつくられ,徐々に押し上げられて最終的に垢(アカ)として剥がれ落ちてしまうまでに,4週間かかります。トレチノインは,この皮膚ターンオーバーのサイクルを短くします。外用を始めて数日の間で赤みが出たり,ポロポロとうす皮がむけたりしますが,これは実際にトレチノインの効果が現れている証拠です。

ハイドロキノンとトレチノインを併用した場合には,トレチノインにより皮膚代謝の回転が速くなり、メラニンがどんどん掃き出され,ハイドロキノンによって皮膚のメラニンが作られなくなります。メラニンを持ってない細胞がどんどん作られるわけですから,皮膚の色が白くなるわけです。

今回は、きれいな肌を決定する2つの要素のうちのひとつ、肌の「色」についてお話しました。次回は,もうひとつの要素である肌の「きめ」についてお話しします。

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