皮膚のレーザー治療

レーザー治療 ~当院の現状など~

皮膚科や形成外科の診療で、レーザー治療が広く行われるようになっていますが、以前より、広く使われているレーザーは、主に以下の3種類です。

1)赤あざ(血管腫)に使う色素レーザー
生まれた時からある赤あざに使う「Vビーム」と言われる機種が主流で、徳島県内には1台(徳島大学病院の形成外科)あります。当院にはないので、希望患者さんは、徳島大学病院へ紹介しています。

2)シミ、茶あざ、脱毛に使うレーザー

①Qスイッチルビーレーザー     主にシミ・あざ用、当院にあります

②アレキサンドライトレーザー   シミ・あざもとれるし、脱毛にも使えます

③Nd:YAGレーザー         シミ・あざもとれるし、脱毛にも使えます

3)老人性いぼを焼くのに使う炭酸ガスレーザー
顔面にある褐色のもりあがりは、脂漏性角化症(老人性いぼ)といわれる良性のできもので、小さいものは炭酸ガスレーザーで焼きとばします。悪性の可能性がある場合は、レーザーではなく、メスで切除して、病理組織検査(顕微鏡で細胞を観察する検査)に出します。

これらのほかに、美容分野などでいろいろな種類のレーザーが使われていますが、皮膚科・形成外科領域では上の3つが広く使われています。

今回は、当院で使っているQスイッチルビーレーザーによる「あざ」の治療についてお話します。

Qスイッチルビーレーザーで治療する「あざ」には、太田母斑、異所性蒙古斑、扁平母斑などがあって、すべて保険が適応されます。
一般的には「あざ」は生まれつきあることが多いため、中年以降に出るのは「シミ」と勘違いして、保険でのレーザー治療をあきらめている方がいらっしゃいます。中年以降に出る「あざ」もあり、保険適応となることもありますので、近くの皮膚科で相談してください。

例えば、太田母斑は、通常は生まれつき顔面の片方だけが灰青色になる場合が多いのですが、10歳以降、または中年以降に出てくるタイプ、左右対称に出るタイプ(ぱらぱら型)、目の下のくまタイプ、目の周り全体のタイプ(パンダ様)もあります。これらは太田母斑類似の病変と考えられ、典型的な太田母斑と同様に、レーザー照射が効くことが多いようです。

実際に、レーザー治療をすることになり、いざ患者さんに具体的な説明をすると、よく言われるのが「照射後2週間は軟膏ガーゼを当てておくのは面倒そうですね。」です。そう言われた際には、「あざが完全に消える場合もあるので、試す価値はある。」と説明しています。

もちろん、きれいに取れない場合もあります。特に、「茶あざ」と呼ばれる扁平母斑の場合は、「きれいに消えるのは半分ぐらいの確率です」と伝えています。照射した方全員が、きれいになれば良いのですが、現在の機種ではここまでのようです。
さらに効きの良いレーザーが、国内外の施設で開発されるのを待っています。

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